第12章 LikeはLoveか、別物か
車軸とホイールに仕掛けているということは、キュラソーを奪い損ねたらここを潰す気なのか。
・・・いや、奪った後でも潰す気だろうな。
それに。
「遠隔操作だとすると・・・」
「下手に騒ぎを起こせないよね?」
私の呟きに、彼も最初からその考えだったことを示してきて。
そうだね、と軽く返事をしてみせるが、内心は何かが気持ちを乱した。
こういう察しの良さと推理力、そして行動力までもが、赤井さんにも一目置かれる存在の理由と突き付けられたから。
・・・私に、足りないものばかりだ。
「如月さんは?1人?」
そして、これは期待だろうか。
私だけでなく、他の誰かがいるかもしれない、という。
もしそうなら、彼が期待しているのは・・・誰なのだろう。
「ごめんね、1人」
私だけと言われ、不安にさせただろうか。
笑みを含ませながら答えたが、彼の表情は真面目なまま。
・・・だった、が。
「!」
ニッと、いたずらっ子のような笑みを浮かべたかと思うと、彼はスマホを取り出しどこかに電話を始めた。
何の笑みだったのだろうと目を丸くしていた時。
「如月さんって、嘘下手だよね」
スマホを耳に当てながら、彼は私にそう言い放った。
以前、誰かさんにも言われたことがある。
・・・そんなにも私は分かりやすいのだろうか。
「赤井さん、いるでしょ」
「!」
・・・最初から知っていたんじゃ。
そう思う他ない程、彼の行動や言葉に迷いが無さ過ぎて。
彼の掌の上で、踊らされている気持ちになった。
「・・・!!」
彼がスマホを耳に当てた数十秒後。
観覧車上部で、大きな物音がしてきて。
それが何か転がり落ちてくるような、と脳内で濁してみたが。
どう考えたってあれは人が落ちてくる音だ。
「赤井さん・・・」
彼かもしれない。
そう考えた時に思わず、音のした方に目を向けながら彼の名前を口にしてしまって。
それを見聞きしたコナン君は、柵へと身を乗り出し、上部へと顔を向けた。