第12章 LikeはLoveか、別物か
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それから私たちは、警察病院を後にした透さんの車を追跡していた捜査員と入れ替わるように、とある倉庫街に着いていた。
ここから先は、いつ何が起こるか分からない。
日本だけではなく、各国のスパイが着々と消されている。
私たち2人も決して生きているとバレてはならない。
そんな緊張感に包まれながら、予備の弾丸をいくつも準備した。
「・・・はい」
車内で徐ろに電話に出た赤井さんを横目に最後の弾丸を仕込むと、一瞬赤井さんの眉間にシワが寄ったような気がした。
「・・・・・・」
ジェイムズさんから情報を貰っているのだろうが・・・あまり良いものではないのだろう。
そう考えながら、窓の外にふと目をやって。
もう日が暮れようとしている。
警察病院から出る際、彼の姿だけでなくベルモットの姿もあったという。
恐らくジンも、ここにいるだろう。
「了解」
嫌な悪寒が体を包む中、電話を終えた赤井さんに目をやりながら、すぐに出るのだろうと心と体の準備を整えた瞬間。
「・・・一つ、悪い知らせだ」
背筋を凍らせるような言葉。
まさか・・・と、考えたくない事を脳裏に過らせていると。
「キュラソーがラムに送信したメールの内容が分かった」
電話の後、すぐに送信されてきたであろうメールを私に向けてきて。
「!」
ゾクッと、何かが体を走り抜けた。
そこには、消された諜報員のコードネームと・・・キールとバーボンの文字。
ただ、続きを打てなかったのか、キールとバーボンに関しては白黒はっきりしないものとなっていた。
「これ、は・・・」
はっきりとはしていない、が。
彼らのコードネームの前には、あなたが気にしていた・・・とある。
疑わしきは罰せよの精神で動くジンなら、間違いなく2人を消すだろう。
・・・であれば、急がなければ。
そう思ってドアハンドルに手を掛けた瞬間。
「ひなたはここにいろ」
「どうしてですか・・・!」
その手を赤井さんに掴まれ、阻止された。
最悪の結果になったとしても、私はどうしても透さんの行く先を知らなければならない、と目で訴えたが。