第12章 LikeはLoveか、別物か
「どうしてコナン君が・・・!?」
接触?近くにいるだけではなく?
何故彼が?今はどこに?
疑問と不安が押し寄せる中、何故彼が組織の人間と接触する経緯に至ったのか。
まずはそこが気になって。
「・・・・・・」
赤井さんはどこから話すか迷っているのか、少しの沈黙を作った後に私の質問に答え始めた。
ーーー
「どうやら記憶を無くしているらしい」
「・・・・・・」
水族館での出来事、その後の彼女居場所、コナン君の動向。
現在分かるだけの情報を、赤井さんは一つ一つ教えてくれた。
ただ問題であり幸いともいえるのは、キュラソーが記憶喪失だという話で。
「・・・演技という可能性は」
「どうだろうな」
もしこれが演技なのであれば、何らかの意図があるという事で。
・・・であれば、コナン君たちも危険だ。
今は警察病院で保護されているという話だが、記憶喪失が嘘だとすれば、警察内部に潜り込むことが容易になっているという事にもなる。
「今、彼女が持っていたスマホを隣で解析中だ。壊れていて修復に時間がかかっているみたいだが、そろそろできるだろう」
隣・・・というと、阿笠博士の事か。
恐らく、FBIが解析するより早いとジェイムズさんが判断したのだろうな。
「それと、彼女が観覧車で発作を起こした際、言っていたことがあるそうだ」
「?」
発作中に言っていたこと・・・?
「スタウト、アクアビット、リースリング・・・と」
「!!」
体を冷水に漬けられたように、一瞬で冷えた。
一般人が聞けば、ただの酒の名前。
でもそれが組織の人間の口から聞こえればそれは・・・。
「消息は・・・お察しの通りだ」
ノックリストに載っていたスパイ。
・・・で、あれば。
だと、したら・・・。
「バ・・・」
バーボンは?
聞きかけて、自然と言葉は途絶えた。
怖かった。
聞いて、最悪な答えが返ってきたらと思うと。
震えが・・・止まらなかった。
「・・・それを、これから確認しに行く」
確認。
濁しているようにも聞こえるその言葉が、私に嫌な予感を過らせる。
生きていることを確認するのか・・・それとも・・・。