第12章 LikeはLoveか、別物か
暫く私の銃を色々な角度から眺めると、赤井さんはフッと小さく笑みを零して。
「・・・君らしい手入れだ」
それは・・・褒められているのだろうか、と返事に迷っていると、赤井さんは眺めていた銃を私に差し出した。
私の手に合うよう、彼が見繕ってくれた少し小さめの銃。
勿論、手入れは怠っていないつもりだけど、と銃に手を置くと。
「・・・?」
銃ごと、私の手は赤井さんの手に掴まれた。
大きく、男らしい手。
小さめとはいえ、彼の手に私の銃もあるのに、その中である程度は納まっていて。
彼の手の大きさと、私の手の小ささが際立つようだった。
「あ、赤井さん・・・?」
ただ、何故掴まれているのか。
そのまま十数秒が流れようとしていたため、思わずこちらから切り出してしまった。
「・・・君の手には、もっと相応しいものがあるはずなんだがな」
「?」
それを聞いてか聞かずか、彼はため息交じりにそう呟いて。
銃の話だろうか。
今の物で私には十分だけど、と首を傾げていると、赤井さんのポケットから着信を告げるスマホのバイブ音が響いて。
「はい」
スルリと私から銃と手を離すと、赤井さんは通話相手に返事をした。
恐らく、ジェイムズさんだろう。
何か新しい情報でも入ったのだろうか。
・・・悪い知らせでなければ良いけど。
「・・・了解」
そう思う時は、大体悪い知らせが多い。
そんな事を考えながら数分の通話を終えた赤井さんに向き合って。
「良い知らせですか?」
先程までの考えを吹き飛ばすように、敢えてそう尋ねたが。
「どうだろうな」
赤井さんは何故かあやふな答えを返した。
どうにも先程から、釈然としない。
赤井さんに再び小首を傾げ言葉の真意を目で尋ねると、彼は私の目を見て、ゆっくりと口を開いた。
「どうやら、ボウヤがキュラソーと接触しているらしい」
聞かされたその言葉は、瞬時に理解できなくて。
数秒間の間を作った後、私の中の焦りは一気に吹き上げた。