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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第12章 LikeはLoveか、別物か




ーーー

あれからシャワーを済ませる時も、赤井さんは私の傍から離れなかった。

皆が集まっているとき、彼は全ての身支度を整えていたようで。

であれば、今日ここに泊まることも事前に言ってくれれば・・・というのは、私の察する能力が足らなかったせいだ。

そう思いながら、その夜は静かに過ぎていって。
次の日も、私は工藤邸に半ば監禁状態で身を隠した。

赤井さんが付きっ切りになる訳にもいかず、数人の捜査員が入れ替わりで私の状態を確認して。

何もできない歯痒さともどかしさに眉間のシワが深くなる中、その日は深夜に別の捜査員と入れ替わりで赤井さんが工藤邸に戻ってきた。

「・・・・・・」

静かな部屋に2人。

赤井さんが何かをしてくるなんて思ってはいないが、無意識に無駄な警戒心は働いてしまって。

「どうした」
「いえ・・・っ」

上ずった声で返事をすれば、私の緊張感は彼に筒抜けになった。
それが無くても、赤井さんなら察しはついていると思うが。

「寝られる時に寝ておけ。次はいつか分からないからな」
「・・・はい」

彼は小さなテーブルライトで銃の点検をしながら、私に視線を向けないままそう指示をして。

赤井さんの言う通りだ。
次、こうしてベッドで眠れるのは、いつになるか分からない。

ただ、赤井さんの手入れを間近で見れることは少ない為、吸い込まれるように彼の傍へと近付いた。

「・・・・・・」

細かな仕事、丁寧な調整。
狙撃の技術も勿論必要だが、やはりこういうことを疎かにしてはいけない。

赤井さんから狙撃を教わるとき、痛いほど教え込まれた。

その手際に目を奪われていると、突然その手がピタリと止まった。

「?」

どうしてこんな中途半端な所で作業を止めてしまうのかと視線を向けると、赤井さんは深く長い溜め息をつきながら、体をこちらに向けた。

「休むんだ」
「すみません・・・っ」

久しぶりにこの声色を聞いた気がする。

赤井さんの事を知らない人はきっと、赤井さんが怒っていると思われるような声色。

実際は、赤井さんの中でいくつかの感情が混じったときにそうなるのだけど。



 
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