第1章 朝日は終わりを告げた
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「あっ、博士から・・・!」
そろそろ強盗犯の1人の家に着くだろうかという頃、蘭さんの携帯に着信があって。
「貸せ!」
毛利さんもやはり焦りはあるのか、それを奪うように電話を受ける姿を横目で確認した。
そのついでに、私達の乗る車の後ろをついてくる妙なバイクにも目をやって。
少し前から付けていているように感じる。
見た所、大人の背丈ではないようにも見えるが。
「もしもし!?」
そんな中、蘭さんの携帯から僅かに博士の声が漏れて聞こえてくるが、何を話しているかまでは聞こえない。
電話を掛けてきたということは、コナンくんが見つかったのだろうけど、と意識をバイクからそちらへと向けた。
「何!?小僧を乗せた車が王石街道を北上してるだと!?」
「王石街道ってこの道じゃない!」
やはり見つかったのか。
しかもこの道で。
ということは、コナンくんは犯人の家までは行った。
でもまだ車が走っているということは。
「んで?車は青いスイフト・・・ナンバーは・・・」
青い、スイフト。
その車がまさに、反対車線を走っていった。
犯人には会えなかったか、会えたが殺害したか、もしくは犯人も・・・。
「何!?銃声!?」
「!」
博士の話を聞いた毛利さんの言葉に、状況の察しがついた。
どうやら一番最悪なパターンのようだ。
「きゃ・・・ッ!」
安室さんが車を反対車線に向けることは大体予想がついていたから。
体を踏ん張り、反動に耐えて。
時々出る彼の荒っぽい部分に、懐かしさのようなものを感じた。
蘭さんは受身が取れなかったのか、小さく悲鳴を上げながら体勢を崩して。
それと同時に気になったのは、さっきのバイクも方向を変えたことだ。
やはり、この車をつけて来ている。
安室さんもそれには気付いているはずだけど。
気にしないということは、組織の人間なのか。
ただ、そういう気配は感じ取れなくて。
「・・・?」
体勢を整えつつ再び視線を前に戻した時、別の違和感を感じとった。
私達の前を走る、あの赤い車。
ドアが・・・開いている、と。