第1章 朝日は終わりを告げた
「ウソ、これ・・・!」
その拳銃を持った写真をよく見れば、見た事のある顔も映っていて。
真ん中は事務所で亡くなった男、右端にはスーツケースに入っていた男。
そして。
「この左端の女性が、もう1人の強盗犯でしょうか」
安室さんは、その写真の人物を指差しながら私の脳内と同じ言葉を口にしてみせた。
「このメールは、その女の人とのメール?」
メールまで残しているなんて。
やはりこういう事をする人間の思考なんて分からない。
「ああ、これはその女からの引っ越しメールだな」
「住所載ってるよ!」
・・・無防備極まりないな。
思わず、眉間に皺が寄ってしまう。
「行ってみましょう」
安室さんのその言葉に皆が立ち上がり、私も背後からその様子を伺った。
彼も車があるから、私はその後ろを車でついて行こう。
「ひなたさんは、助手席へ」
「え?」
・・・という予定は、彼のその一言で崩されて。
「・・・分かりました」
ただ、その方が都合は良い。
最初から彼にそう頼めば良かったのかもしれないが、今は彼がどう考え言葉を掛けてくるのかも、気になっていたから。
ーーー
「あ!うそ、コナンくんからメール来てた・・・!大丈夫だから、心配しないでって・・・」
数分後、車内で蘭さんは携帯を確認しては慌てた様子を見せた。
まあ、彼なら何とかやっているだろうと思いつつも、やはりこちらも僅かな不安はあって。
「どうやらあの子自ら、彼女について行ったようですね」
それは事件を解決したいという欲求からなのか、それとも解決しなければという義務感からなのか。
「あのガキ、また探偵気取りかよ」
「まあ、子どもの好奇心は探偵の探究心と・・・相通ずるものですから」
確かに。
彼は知りたいということに貪欲かもしれない。
ただそれが彼の強みでもあり弱みでもある。
彼は謎に生かされ、謎に苦しめられている。
知ることができないということは、彼を完全に壊すことも容易なのだ。
でも沢山の知識がある彼でも、諦めるという事は知らないようで。