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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第11章 昨日と明日と明後日と




「どうやら僕がお邪魔なようなので、お暇しますね」

思考も動きもフリーズしてしまっていると、昴さんはそう言いながら、背後から私の肩に手を置いて。

とりあえず、彼らを引き剥がすことはできそうだ、と僅かに安堵していると。

「!!」

何故か頬に唇を軽く触れさせて、満足そうな笑みをこちらに向けた。

瞬間、熱を帯びたように感じた頬に蓋をするような形で手を置くと、昴さんは軽く透さんに目を向けた後、再び私を見て。

「では、また明日」

そう言い残し、部屋を後にした。
・・・まだ聞きたいことは山ほどあったけど。

近いうちにまた会うことになるのだろうと、どちらかと言えば昴さんに対する僅かな怒りだけを胸に、視線を落としていると。

「・・・明日もここに?」
「!」

透さんの言葉に、一気に現実に引き戻された。
・・・そうだ、彼は少なからず怒っていて。

何故その怒りを覚える必要があったのか。
考えれば、答えは一つしかなかった。

「違います!ポアロで、という意味だと思います・・・」

昴さんや、私の声が、彼に届いたからで。

「・・・面白くないですね」
「?」

でもそれは透さんの私に対する気持ちが本物だった場合で。
赤井さんは本物だと言っていたが、やはりにわかには信じがたい。

そんな目に見えないものを証明することはできないから、どうすることもできないのだけど。

とにかく、透さんとの関係を長引かせるためにも、弁明をしておくかと口を開きかけた時。

「!?」

先程、昴さんの唇が触れた頬を、彼が服の裾を使って無造作に拭かれた。

突然のことに少し体勢を崩しながらも、何とかその場には踏ん張って。

「と、透さん・・・!!」

彼らしくない荒々しい行動を名前を呼んで止めさせると、今度は両手で私の頬を包むように持って視線を上げさせた。

「もう、許可はいりませんよね?」

嫌でも、彼の眼を見てしまう距離に顔を詰められて。

そう確認を取られると、顔を包んでいた手を僅かにずらし、彼も頬に優しく唇を触れさせた。



 
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