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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第11章 昨日と明日と明後日と




「ッ・・・!」

彼の顔が・・・近づいてくる。
赤井さんだと分かってしまった以上、いくら見た目は昴さんでも、体は強張るばかりで。

彼の服をキュッと掴むと、小さく覚悟を決めて。

「ん・・・っ!」

彼は沖矢昴だ、と何度も脳内で言い聞かせては瞼をしっかり閉じ、彼の服を掴む手の力を強めた。

その瞬間、吐息が耳元にかかって。
思わず小さな声を漏らしてしまった。

「まあ、最初から我慢させるつもりはありませんが」

そう囁く声は、昴さんの声・・・のはずだけど。
喉の振動が薄かったせいで変声機の反応が弱くなったのか、赤井さんの声にも聞こえて。

緊張も相まって肩がピクっと震えた。

「や・・・!」

耳に、彼の唇が触れた。
同時に聞こえたリップ音と吐息が、体に何かのスイッチを入れさせて。

バーボン相手ではない上、目の前の彼を沖矢昴と信じ込む為に瞼を閉じたけど。

「ま、待ってください、昴さん・・・!」
「おや、待てですか」

胸元のボタンが外されかかっていることに気が付くと、瞼は瞬時に開いてしまって。

服を掴んでいた手を彼の手の方に移動し静止を試みるが、力で敵うはずがなく。

「残念ながら、そうするつもりはありません」
「・・・!」

着実に一つずつ、ボタンを外されていった。

外された後から服を手繰り寄せるように掴んでみるが、その隙間から見える下着や肌に、動揺が募っていった。

「相変わらず、綺麗な肌ですね」

・・・赤井さんは、素よりこういう人だったのだろうか。
いや、あくまでも今は沖矢昴を演じているだけだ。

彼だってこれは、宣戦布告だと言っていた。
深い意味までは読み取れていないが、何か作戦があってのことだということだけは、察していた。



 
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