• テキストサイズ

【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第11章 昨日と明日と明後日と




「寂しいですか?」
「ま、まさか・・・」

昴さんが赤井さんだと知ってから、私の彼に対する態度はもちろん少し変わってしまったように思う。

ただ彼はいつも通り、透さんの前では尚更、そうしていろと私に命令した。

それが簡単にできれば苦労はしないのだけど。

「今日はそろそろ終わりですよね?」
「はい・・・そうですけど・・・」

吹き上げた食器を片付けていると、彼は徐にそう尋ねてきた。

いつも帰りの事なんて尋ねず、コーヒーを飲んで数分後には店を後にするのに。

「一緒に帰りませんか?」
「!」

今日は、突然そう持ち掛けられた。

純粋に言葉を受け取れば、ただ2人で帰路に就くだけなのだろうが、彼の雰囲気がそれだけではないと言っていた。

「・・・わかりました」

任務だ。
沖矢昴という皮を被っていても分かる。

それも赤井さんがわざわざ来るということは、それなりに重要なものなのだろう。

これは・・・安室透と会うのは、また少し先の出来事になりそうだ。



「ひなたさんの部屋でも構いませんか」
「えっ・・・!?」

ポアロでの仕事を終え、昴さんと2人で店を出ると、彼は行先の指定をそうしてきた。

「か、構いません・・・けど・・・」

てっきり、工藤邸で話すのだと思っていた。
そのせいで最初の返事は随分間抜けな声を上げてしまった。

でもこれで、話があることには確信が持てた。

「初めてですね、部屋に伺うのは」
「・・・・・・」

赤井さんの姿では、もちろん部屋に上げたことはある。
でも確かに、昴さんを部屋に上げるのは初めてのことだ。

同じことなのに・・・どうしてこうも違う感覚になるのだろう。

「あの・・・変なことを確認しますが、話だけなんですよね?」

変なところを強調されたせいか、妙に身構えてしまった。
野暮な確認だとは分かっていたが、せずにはいられないほど、落ち着かなくなっていて。



 
/ 350ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp