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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第1章 朝日は終わりを告げた




ポケットの中で着信を知らせていたスマホは、既に静かになっていて。

それをそっと取り出すと、すぐに掛かってきていた番号へと掛け直した。

先程までメールで話していた、あの人へと。

『そっちの様子はどうだ?』

呼び出しのコールはほぼ無かった。
きっとイヤホンでも付けているのだろう。

「バーボンは特に目立った動きはありません。事件については、ここが強盗犯の部屋だと思われます。これからもう少し探ってみようかと」

なるべく声を潜めて。
バーボンがドアを挟んだ向こう側で聞き耳を立てているとは思わないが、万が一を考えてだった。

『そうか、そのまま続けてくれ。ただ、くれぐれも・・・』
「警察、ですか?」

あの人が言うよりも先に、それは十分承知していると返事をしてみせた。

日本の警察は優秀だ。
優秀だが、頭が堅い。

私達の事をあれこれ探られれば、今後の動きに支障が出るかもしれないから。

『それもだが・・・』
「?」

ただ、あの人が気にしているのはそれだけでは無いようで。

『いや、いい。切るぞ』

他に何が、と横目で耳に当てているスマホへと視線を向けるが、その答えが返ってくることはなかった。

一方的に電話を切られたスマホに目を向けたまま画面を落とすと、小さくため息を吐いて。

相変わらずだな、とスマホをポケットにしまい込み、ゆっくりと玄関のドアを開いた瞬間。

「あ、ひなたさん・・・!どこ行ってたんですか?」

蘭さんが目の前に立っていて。

「すみません、ちょっと外の空気を吸いに・・・」

探しに行こうかと思っていたという彼女に、そう言い訳をすれば、毛利さん達はパソコンを調べ始めていると教えてくれた。

「くそっ!」

2人でその部屋へと入りかけた時、毛利さんの大きく悔しがる声が聞こえてきて。

「どうしたんですか?」

パソコンを前に、毛利さんは頭を抱えていた。

何故そうなっているのかを尋ねると、毛利さんは体を僅かにこちらに向けながら、パソコンの画面を私に見せた。

「パソコンにロックが掛かってんだ・・・」

なるほど、パスワードか。
これで毛利さんの状況には納得がいったが。

問題なのはどうやってこれを開けるか、だ。




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