第1章 朝日は終わりを告げた
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「窓を開けたら大分、臭いは収まったな・・・」
「でもやっぱり、警察に連絡する・・・?」
適当に誤魔化しながら部屋へと戻ると、毛利さん達は部屋の換気をしていて。
「それより妙ですよ、この部屋」
その会話を聞いた安室さんは、割入るようにして彼らに混ざって。
その後、私達が見て確認してきたことを話終えると、毛利さんも僅かに考える素振りを見せた。
「じゃあ、ここに住んでたのは圭さんの亡くなった兄だけだったってことか?」
「それはまだ分かりませんが、この部屋の住人が先日起こったある事件に、かなり注目していたのは確かですね」
そう言いながら、安室さんは何故かリビングの方へと向かっていって。
徐ろにテレビを付けると、録画画面をパッと開いた。
「ほ、ほんとだ・・・この前の強盗事件のニュースやワイドショーばかり録画してる・・・!」
「しかもその事件のコーナーだけ切り取って編集してやがるな」
さっきも思ったけど。
・・・いつの間に、そこまで調べたのか。
あまり目を離したつもりはないが、彼の行動と情報を得る早さは今でも健在のようだ。
「ん?こいつは今朝から公開してる、防犯カメラに写った3人組の強盗犯の映像だな」
録画欄にあった一番上のそれを再生してみせると、そこには小柄な人、痩せた人、ガッシリした人の3人の強盗犯の映像が流れていた。
そしてその内の1人、ガッシリした人物が1人に向かって発砲。
撃たれた人は見切れていて映らないが。
『なお、この時犯人をなだめようとして射殺された銀行員、庄野賢也さんの通夜は・・・』
そうアナウンサーが喋る中、出てきた写真は。
「こ、この男の人、圭さんの待ち受けに映ってたお兄さん!」
間違いなく、彼だった。
成程、だから彼女の待ち受けを見た時、コナンくんがあの様子だったのか。
最近、私は日本のニュースをあまり見ていなかったから気付けなかった。
そんな事を思い返していると、突然ポケットの中でスマホが振動を始めて。
「もう少し部屋を調べてみましょう。といっても、寝室にあったパソコンくらいしか、調べる場所は無さそうですけど」
安室さんのその言葉に、毛利さん達も寝室へと移動して。
丁度良い。
そう脳裏で考えつつ、その後をついて行くフリをしては、玄関からこっそり外へと出た。