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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第10章 ジャズに乗せて踊ろう




「さて・・・もう一勝負、しましょうか?」

吸っていた煙草を携帯していた殻入れに入れると、好戦的な表情を向けた。

体は限界だと悲鳴を上げているが、またいつ彼と手合わせできるか分からない。

「・・・お願いします」

今は極力考え事をしたくない。
家に・・・戻りたくもない。

何とか姿勢を保ち攻撃の構えをすると、そこからまた数時間、昴さんと手合わせした。

ーーー

「・・・痛た・・・」

節々、というより体全体が痛む。
あれから何度も投げられ、固いコンクリートに体を打ち付けた。

それは自分の未熟さゆえの出来事だから、仕方のないことだったのだが。

「本当に容赦ない・・・」

私の守りが甘い部分、動きが遅い部分、全て的確にそこを突いてくる。

おかげで普段痛めることのない部分までしっかり痛めた。
最早、どこが痛いのかも分からない、と腰をさすりながら俯いて部屋までの廊下を進んでいると。

「何が、ですか?」
「!!」

もうすぐで、部屋に辿り着くのに。
目の前には、これから部屋に入ろうとしている安室透の姿があって。

彼の部屋の前を通らなければ、自室に戻れない。
今ほど、部屋の並びに不服を持ったことはなく、これからも無いことだろう。

「何が、容赦なかったのですか?」

辺りは暗く、街灯の明かりだけが彼を怪しく照らした。
微笑んでいるようにも見えたが、その表情の意味を読み取れることはできなくて。

「別に、何も・・・」

視線を逸らすかどうか、一瞬迷った。
嘘を真実だと貫き通すのであれば、逸らしたりはしないのだろうけど。

今の私は、彼にとっては普通の人でいなければならない。
少しでも、FBIという組織から目を離さなければいけない。

彼にこれ以上変に探られたくないという思いもあってか、静かにそっと、視線を落とした。


 
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