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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第1章 朝日は終わりを告げた




「どうしたの?」

今この場で、この顔ぶれは・・・少し気まずい。

あの一件以来、バーボンはライの事を強く嫌うようになってしまったから。

・・・私が気まずさを感じる必要は微塵も無いのだけれど。

「仕事の話だ」

そう言って彼は親指で後ろを指差し、場所を変えようと指示してきた。

「悪いが彼女は連れて行くぞ」
「勝手にしてください」

私がライの方へと向かいかけた時、彼はわざわざバーボンへと、そう声をかけた。

火に油を注ぐような行為に眉を顰めながら、ライの隣を通り過ぎては階段を下っていった。

「・・・随分と仲が悪くなったのね」
「元々良い訳でも無かったがな」

・・・そうだろうか。
少なくとも、今よりは良かったと思うが。

でなければ、ああして仕事で組む事もできなかっただろうから。

「彼にはどうやら、深く恨まれてしまったようだ」
「恨まれた・・・?」

それ程まで、バーボンはスコッチに肩入れしていたのだろうか。

いや、それ以前に。
私の中の仮説が合っているとすると、彼らは・・・。

「そういえば、話って何なの?」

仕事の話なんてきっと嘘で。
いや、ある種では正しいかもしれないが。

彼からの呼び出しは大体そうだったから。

今日もきっとそうなんだと、思い込んでいた。

だから、人気の無い場所で足を止めた瞬間に感じた違和感に・・・寒気が起きた。

「・・・君は、この組織を抜けてもらおう」
「!」

突然の命令。
それと同時に、それを強制的とさせる銃が・・・こちらを向いていた。

「ネズミは、これ以上いらない」
「・・・どういう事かしら」

頭は混乱していた。
でも、今はそんな混乱起こしている場合ではない。

冷静さはあくまでも保ったまま。
私は淡々とライに説明を求めた。

「この名を呼ぶのは最後だ」

だが、彼はそれに応じるつもりは無いようで。

カチャリと音を立てるそれに、冷や汗が頬を伝った。

スナイパーに狙われるとは、こういう気分なのか。

それも・・・この男に。


「ウェルシュ」


彼がその名を口にした瞬間、辺りには銃声が響いて。

私がウェルシュとして過ごした日は呆気なく、その日で終わりを告げた。





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