第9章 愛はお金で買えますか
「・・・成程、面白い」
ただ、やはり分からないのは、その話を昴さんにしていることで。
・・・いや、分からないようにしていたのかもしれない。
「そこから先は簡単でした。來葉峠の一件後、その少年達の周りに突然現れた不審人物を探すだけ。そして、ここへ辿り着いたというわけです」
バーボンは、赤井さんが生きていると察した。
「あの少年と、この家の家主の工藤優作がどういう関係かは、まだ分かっていませんが・・・」
なのにジンが接触して来ないということは、バーボンは単独で動いている可能性が高い。
バーボンは赤井さんに対して、かなりの嫌悪を抱いていたようだから、見つけ次第動かないはずがない。
「貴方があの少年のお陰でここに住まわせてもらっているのは、確かなようだ」
・・・赤井さんは、公に姿を出せない。
ただそれは、赤井さんの姿だったら、という話で。
「連絡待ちです」
テーブルの上に、バーボンのスマホが置かれて。
視線は自然とそこへ流れた。
「現在、私の連れが貴方のお仲間を拘束すべく追跡中。流石の貴方も、お仲間の生死がかかれば、素直になってくれると思いまして」
「・・・・・・」
バーボンの言葉に、昴さんは沈黙を作った。
「すばる、さ・・・ん・・・」
もう、その名で呼んで良いのかも分からなくなっていて。
「でも、できれば連絡が来る前に、そのマスクを取ってくれませんかね?沖矢昴さん」
バーボンの言うお仲間というのは、きっとFBIの人間。
コナンくんも、彼らが来葉峠に行くことを読んでいたことを考えると・・・FBIのどの人間が狙われているのかまで分かって。
何から考えればいいのか。
何をしていればいいのか。
何も分からなくなっている中、昴さんの横顔を情けない表情で見つめる中。
「いや、FBI捜査官・・・赤井秀一・・・!」
追い詰めるように、バーボンは昴さんのことを、そう呼んだ。