第1章 朝日は終わりを告げた
「って事は、やっぱりこの男は圭さんが!?」
「ひょっとしたら探偵事務所で拳銃自殺した男も、本当は彼女が・・・」
「そ、そんな・・・」
そう3人が会話しているのを横目で見ながら、私は1歩彼らから距離を取った。
安室さんの言う通り、事務所で亡くなった男もきっと、樫塚さんがやった事だろう。
「でも彼女からは発射残渣が殆ど出なかったじゃねえか!」
「ひょっとしたらの話ですよ・・・!」
その辺りは、説明しようと思えばできなくはない。
でも問題はそこではなくて。
「しかし弱りましたね・・・朝まで手を出せないとは」
「あのガキがこっそり居場所を教えてくれればな・・・」
・・・そう、コナンくんだ。
きっと彼なら1人でもどうにかしようとするだろうけど。
万が一ということもある。
「あ、阿笠博士なら分かるかも!」
「!」
バーボンを優先と言われているが、彼を連れての捜索なら問題ない。
そうは思ったけれど。
まさかこの場で、その名前を出されるとは考えていなかった。
「阿笠博士?」
彼がここで食いつかないはずがない。
バーボンであるこの男に、あまりコナンくんの身の回りの人物を明かすのは彼もその人も危険だ。
勿論、こちらも。
「コナンくん、いつも発信器付きの探偵バッジ持ってて、それを追跡できるメガネをその博士が作って持ってるんです」
「ホォー・・・」
興味深そうにする彼を見て、やり方を間違えたかと眉を顰めて。
でも今は流れに任せた方が、コナンくんを早く見つけ出せるかもしれない。
「とりあえず私、博士に電話してみる・・・!」
そう言って蘭さんは急いで博士へと電話を掛けて。
彼女が一通りの事情を説明し終える間、安室さんから意識だけは逸らさず、周りの様子を伺った。
「う、うん!だからコナンくんの探偵バッジを追跡眼鏡で追って欲しいの!」
どうやら話はついたようだ。
阿笠博士がコナンくんを探してくれるのなら、今はそうしてもらった方が良い。
安室さんと会わせることは、避けた方が良さそうだ。
「あ、ごめん、キャッチホン・・・!コナンくんからかも・・・場所が分かったら連絡して!」
そんなことを思っては安堵し切れない状況に目を伏せると、蘭さんは更に慌ただしい様子を見せた。