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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第9章 愛はお金で買えますか




「・・・あまり、気張らないように」

彼の手に触れる内、段々と瞼は重みを増していって。
彼の声が子守唄のようにも聞こえてきて。

「おやすみなさい」

いつ、眠りについたのか覚えはない。

FBIとしては酷く情けない寝付き方で、その日は深い眠りに落ちた。

ーーー

「・・・!!」

微かなタバコの匂い。
半分夢の中でそれを感じ取ると、体がこれは現実なのだと一気に引き起こした。

「おはようございます」

気付けば、とっくにポアロへの出勤時間は過ぎていて。

何故起こしてくれなかったのかと、窓際で煙草を吸う彼に眉をしかめた表情を向けたけれど。

どう考えたって、私が悪い。

「・・・おはよう、ございます」

とりあえずポアロに連絡を入れなければ、とスマホを探っていると、昴さんが徐ろに近付き、私の手を止めて。

「ポアロへは連絡しておきました」

そう、告げた。

「あ、体調が悪いと伝えていますので、その様に話を合わせておいてください」

・・・まあ、どっちみち今日は平日のお昼過ぎまでだ。
コナンくんを見かけることもないだろうし、ポアロの人入りも少ないだろう。

それに、今日は透さんも出勤だったはずで。
そうなれば、休んだ方が好都合かもしれない。

あくまでも、都合が良いのは私だけ・・・だが。

「今日は1日ここに居てください。少し、話したいこともありますから」
「?」

話したいこと、か。
そう前置きされると少し身構えてしまう。

彼から話したいこととは、一体・・・。

「・・・!」

アッシュトレーへと煙草を押し付ける彼を横目に起き上がる準備をしていると、ベッドの隅からスマホが鳴っているのに気がついた。

長いバイブ音・・・電話だ。

もしかするとマスターかもしれない、と急いで手に取り画面の表示を見たけれど。

そのせいで体は、瞬時に固まった。

「彼ですか」

画面を見たまま電話に出ない私を不審に思ったのか、昴さんがスマホの画面を覗き込んで。

出ない訳にはいかないが・・・出たくない。

身勝手だと分かってはいるが、どうしようかと悩んでいる時だった。




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