第1章 朝日は終わりを告げた
「ていうか、さっきからコナンくんも圭さんも見かけないんだけど・・・」
「放っとけ!今は盗聴器が先だ!」
蘭さんとコナンくんには悪いが、私も今はそうしてもらえるとありがたい。
できればさっきの警察官を呼んでおいた方が良い気もするけれど。
この状況では、ただの喫茶店の店員がそこまで口出しする事もできないから。
「盗聴器はベッドの下のようです」
安室さんと毛利さんが、発見機の音を頼りにベッドの下を覗き込むと、それを蘭さんが不安そうに見つめて。
「でっけえスーツケースが押し込まれてるな・・・盗聴器はこの中だな」
「臭いの元も、それみたい・・・」
・・・そう、だろうな。
その中身も、安室さんは察しがついているだろうけど。
きっと、そこには。
「き、きゃあぁぁっ!!」
普通、スーツケースには入れない・・・遺体が入っているだろうから。
「何で死体がスーツケースに入ってんだよ!?てか、誰なんだこの男!」
頭から血を流してスーツケースに詰め込まれていた男は、体を丸めるようにして押し込められていた。
臭いや遺体の具合から見て、恐らく・・・。
「死因は撲殺、死後1日強って所でしょうか」
「!」
彼のその言葉に思わず、背後から視線を向けてしまった。
あまりにも、脳内の言葉と彼の言葉が重なったから。
・・・別に彼がそれを話すことに、違和感も疑問もないのに。
「思った通り、盗聴器はこの中に入っていたが・・・」
「とにかく、家主の圭さんに話を聞いてみよ・・・!」
毛利さんがスーツケースの中から盗聴器を取り出すと、それを見た蘭さんは慌てて部屋を出ようとして。
その背中に私は思わず彼女に声を掛けた。
「彼女なら、もうここにはいないかもしれません」
私の言葉に蘭さんは、目を見開きながら足を止めてこちらに振り向いた。