第1章 朝日は終わりを告げた
それを手に取り画面を開けば、それはずっとこちらから一方的に報告を送り続けていた、あの人からのメールだった。
『バーボンについていろ』
内容は、まるでどこかで私を見ているかのように、そう指示するメールだった。
タイミングまで、良いのやら悪いのやら。
「・・・・・・」
あの人が言うのなら仕方がない。
コナンくんは気になるが、今は指示に従ってバーボンについていることにした。
「もう10分くらい経つが、圭さん戻って来ねえな・・・」
毛利さんが時計に目をやりながらそう呟くと、安室さんはようやく行動を起こし始めて。
「ではとりあえず、我々は盗聴器を探し始めましょう」
彼は手にしていた発見機を見せつけるようにすると、蘭さんに携帯で音楽を最大音量で流すように指示した。
その音を頼りに盗聴器を炙り出すから、と。
ー
部屋中を回り、廊下へと出て。
それまでに既に3個の盗聴器が、蘭さんが手にする袋の中に閉じ込められていた。
そして廊下では早くも4個目が発見されて。
「・・・・・・」
このまま行けば、次はあの部屋か。
そう思いながら玄関に目をやるが、やはり樫塚さんとコナンくんの靴が無くなっている。
連れ去られたという可能性も無くはないが、状況的に考えれば自らついて行ったと考えた方が妥当だ。
あのコナンくんなら。
「うっ!?」
そうこうしていると、毛利さんはあの臭いがしてくる部屋のドアを開けていて。
少しばかり鼻のきく私だから先に気付けたのか、少なくとも毛利さんと蘭さんはそこで気付いたようで。
扉を開ければ、脳をおかしくさせるような臭いが鼻の奥を強く刺した。
「何だこの部屋、かなり臭うぞ・・・!」
さすがにこれには眉を顰めた。
何度経験しても、慣れるものではない。
「この部屋にも、盗聴器が仕掛けられているようです」
私の後に入ってきた安室さんは、発見機を鳴らしながら私の背後に立って。
涼しい顔をする彼に、この臭いには慣れていると言われているようで、少し別の意味で眉が寄った。