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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第8章 ハートの無いトランプ




「ですよね、ひなたさん、コナンくん?」
「・・・・・・」

・・・何も言わなかったのが、凶と出たのだろうか。

いや、どうせ言っても言わなくても、結果は変わらなかっただろう。

それなら、今はキャメル捜査官に少しでも怪しんでもらえる方が良いかと判断して。

「FBIの彼が言った通り、手前のテストは日本式の採点です。では奥のテストはどうでしょうか?」
「・・・あ!」

私の指摘に彼らは再び写真に目をやると、ようやく気が付いたようで。

「コナンくんも気付いていたよね?これを見た瞬間、犯人をガン見していたから」
「な、何の事・・・?」

とぼけているが、透さんの言う通りだろう。
監視対象ということもあるが、子どもらしさの無いその行動はあまりにも目立った。

「・・・・・・」

一体、バーボンは何を考えているのだろう。
江戸川コナンという小さな探偵にも、興味を持っているようだけど。

「じゃあ、分かったのかね、犯人が!?」
「ええ、大体は」

勿体ぶるような言い方。
昔から変わらないな、そういう所は。

「でも、ようやく謎が解けましたよ」
「?」

それは事件のことなのかと、ふと視線を彼に向け直した時。

更に高圧的なものになった雰囲気に、思わず息を飲んだ。

「ずっと疑問だったんです。何故彼女は探偵の僕にストーカーの調査を依頼したのか」

・・・どこか嬉しそうに。
そして、やはり挑発的に。

「FBIのご友人がいるっていうのに」
「ちょっと、それどういう意味?私が頼りなかったって言いたいわけ?」

わざと、FBIの怒りを買うような言い方をして、ジョディを煽った。

「た、頼みづらかったんじゃないですか?我々は観光で来日している訳ですし」
「なるほど、観光ですか」

言葉では納得しつつも、声色は全く反対の雰囲気を示していて。

見ているこちらまでもが、追い詰められている感覚になった。

「ビザがないならそろそろ、滞在日数が限界にきてるんじゃないですか?」

もしかすると、私の正体に気がついていて、その上での言葉なのかもしれない。

そうも、思い始めて。




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