第8章 ハートの無いトランプ
・・・いや、そもそもだ。
何故ここにジョディとFBIの彼がいて、その上コナンくんまでいるのか。
コナンくんは赤井さんと繋がっていたことを踏まえると、ジョディとも知り合いの可能性があるが・・・。
仮にそうだとすると、彼はあまりにも関わり過ぎていないだろうか。
「ほう?FBI、ですか」
警戒しているのか、コナンくんはバーボンを。
大柄なFBIの彼は私も含めて、睨みをきかせていた。
彼がバーボンだという情報は共有されているはずだ。
その横に、突然助手だと言って連れて来た女なんて、怪しさ以外の何物でもない。
ただその殺気は、少し抑えた方が良いと感じつつ、バーボンに目を向けた。
「アメリカ合衆国連邦捜査局ってやつですね?よく映画やテレビドラマでお見かけしますよ」
赤井さんの一件があってから、どことなく気付いていた。
「手柄欲しさに事件現場に出張って来て、ドヤ顔で捜査を引っ掻き回し、地元警察に煙たがられて視聴者をイラつかせる捜査官・・・」
「なに!?」
バーボンがFBIに対して、異常な敵意を見せていることに。
だからこそ、彼が苦手だ。
まあ、組織の人間に、FBIが好きだと言う奴は1人もいないだろうけど。
ただバーボンの嫌悪は、ジン達とは違う・・・恨みのようにも感じていた。
「ああ、別にあなた方のことを言ってるわけじゃないですよ!たまたま僕が観たのが、そういう・・・」
そう話す間、FBIの大柄な彼は隠すつもりがないのか、敵意をこれでもかと剥き出しにした。
・・・ジョディも、赤井さんが生きていることを知らない。
つくづく、何故私が知ってしまったのだろうと感じてしまう。
知れたからこそ良かったと思うこともあったが、それに見合う動きができなくて。
やはり劣等感も大きく感じる。
「じゃあ何かね?渋谷夏子さんの一件を通報してきたのは、君なのか!?」
いつの間にか落ちていた視線を目暮警部の声でハッと戻すと、バーボンと彼らの会話に耳を傾けた。