第1章 朝日は終わりを告げた
「・・・・・・」
コナンくんがこれに気付いたとすれば・・・部屋を引っ掻き回すだろうな。
「あれ?昨夜は宴会だったんすか?」
「あ、はい・・・大学時代の友人数人と」
案内された部屋へと足を進めると、テーブルにはその宴会の名残が生々しくも残っていた。
それに目を向けつつ、台所へと向かった樫塚さんにも気を配った。
「あの、何か手伝いましょうか?」
戸棚を開けてはお茶っ葉を探す彼女に、蘭さんが声を掛けて。
「じゃあ、机の上のゴミを・・・」
彼女も蘭さんの言葉に甘え、そう頼みかけた時。
毛利探偵が付けたテレビからは、先程起きた事件についてのニュースが流れてきた。
「うそ、もうニュースになってる・・・!」
まあ、あれだけ野次馬がいればなっていてもおかしくない。
それに事件現場があの毛利探偵事務所となれば、マスコミも放ってはおかないだろう。
「やば・・・、お母さん心配してるよ!携帯の電源切ってたから・・・」
・・・そういえば、あの人から返事が一切無いな。
特に必要無いと感じたのかもしれないけれど。
「!」
蘭さんが携帯の電源を入れた瞬間、彼女の携帯からすぐに着信音が鳴り響いて。
「も、もしもし・・・お母さん!?」
『何で電源切ってんだよ!?心配したじゃないか!!』
慌てて蘭さんがそれに出ると、その電話口からそう叫ぶ声が隣にいた私にまで聞こえてきて。
それは僅かにも毛利さん達にも届いたようで、皆の視線は一気に蘭さんへと向けられた。
「せ、世良さん・・・!?」
蘭さんは電話相手のことを声で判断し、そう名前を呼んだ。
世良・・・彼女の友達だろうか。
どこかで聞いたような気もするけど。
「あ、ごめん・・・何か声が途切れて聞き取りづらいみたい・・・」
「!」
暫くその世良さんという子が何か話したようだが、それは蘭さんの言葉通り上手くは届かなかったようだ。
ただその届き方に・・・問題があるけれど。