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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第7章 偶然は必然を嫌ってる




最後に吸ったのはいつだっただろう。
ポアロに入ってからは吸っていない。

それよりも・・・前。

「・・・・・・」

ああ・・・そうだ。
赤井さんに、日本に行けと言われた・・・あの日か。

そんなにも、日は空いていたのか。

「・・・やっぱり、苦手です」

浮かれていたんだろうな。
赤井さんが生きているという秘密を持つ、数少ない人間として。

でもそれは、私が思っていたよりも多くて。
こうして隣にいる昴さんも、知っていたことだし。

「まあ、体に良いものでもありませんから、その方がよろしいのでは」

今の行動は自暴自棄に近い。
でもそれで自分を律することができるなら、それはそれで良いのではと無理矢理、正当化した。

「煙草、やめないんですか?」

ある意味の嫉妬を向ける昴さんに横目で視線を向けると、彼が咥えていた煙草は役目を終えようとしていて。

本当に喫煙者だったんだと、改めて確信した。

「簡単にやめられれば苦労はしませんよ」

色々そつ無くこなし、完璧に見える彼だけど。
これは弱点とも言えるのではないだろうか。

そんな所もあるのだな、と彼の人間らしさが初めて見えた気がして。

「・・・ですね」

思わず、本当に小さく笑みが零れた。

赤井さんも・・・ヘビースモーカーだ。
同じ事を尋ねた時、集中力の保持の為なんだと言っていたけど。

そういう言い訳のような事も言うんだ、と。
それを聞いた時、少し嬉しさを感じたことを思い出した。

「その表情です」
「?」

突拍子も無く言われた言葉に小首を傾げ、なんの事かと目で尋ねて。

「笑っている方が素敵ですよ」

聞かなければ良かった、と思うと同時に。

「最近の貴女はずっと眉間にシワが寄っていましたから」

身構え過ぎていたかもしれない、と反省もして。

気を付けてはいたつもりだが、如月ひなたとしては、あまり良い表情をしていなかったかもしれない。

小さな綻びから、穴は大きくなっていくのに。




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