• テキストサイズ

【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第7章 偶然は必然を嫌ってる




・・・今時マッチ棒なんて。

銘柄といい、赤井さんの真似だろうか。
それとも影響なのか。

私がとやかく言えた立場ではないけど、とマッチ棒をすって火をつけ、咥えた煙草に火を移そうとした時。

「・・・・・・」

彼にその手を止められ、何故かその火は昴さんが加えた煙草へと付けられた。

借りた手前、文句は言えない。
仕方なく、新しく火をつけようとマッチ棒に手を伸ばしかけた時。

「・・・!」

またしてもその手は止められた。
それどころか、マッチごと奪い取られてしまった。

何のつもりなのか、と顔を顰めながら彼に視線を向けようとしたが、思った以上に彼の顔は近い所にあって。

目が合った瞬間、思わず身を引いてしまった程。
距離としてはかなり近かった。

「どうぞ」

火元が無くなった私へ彼が代わりに差し出したのは、私が火をつけた自身の咥える煙草だった。

ここから火を貰うのか、とかなりの躊躇いはあった。
けれどこれも試されているのかとも思って。

煙草を加えたまま、ゆっくりと顔を近づけた。

「そのまま、吸ってください」

互いのタバコの先同士をくっ付けると、そこから火を貰う為、煙草を軽く吸い上げた。

所謂、シガレットキス。

本当にキスをしているのではと錯覚するような近さに、心臓は徐々に反応を示していった。

「・・・・・・」

煙草に火がつき、徐ろに離れていく。
それはどことなく、名残惜しそうにも見えた。

あくまでも、煙草の話だが。

「・・・吸うのは久しぶりですか?」
「そう・・・ですね」

煙が体に溶ける感覚に、やはり苦手だと思って。
そこからはただ煙を感じ取るだけになっていた。

それを見た昴さんは、煙をくゆらせながら私にふと尋ねてきて。



/ 368ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp