• テキストサイズ

【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第7章 偶然は必然を嫌ってる




「まあ、僕としては何も無い方が良いですけどね」

・・・それより、だ。
何故彼は私があの部屋に居たことを知っている?

赤井さんにも、倉庫までの出来事しか報告はしていないのに。

「・・・赤井さんから、何か聞いたんですか」
「いいえ?僕はFBIの人間ではありませんから」

それはそうだけど。
だからこそ、私よりも赤井さんと連絡を取っているであろう事実に苛立つ。

「それより。倉庫で彼に会った・・・それだけのことを、わざわざここに報告へ来てくれたのですか?」

・・・名目が薄かっただろうか。
それとも、予想通り見透かされているのだろうか。

「・・・十分な情報だと思いますが」

かわせる限り、かわしてみるけれど。

「まあ、そうですね」

状況としては、昴さんに正体を知られている以上、未だ私の方が不利だ。

私は彼のことを、何も知らないのに。

「昴さん」

改めて名前を呼び、注意を引くと、彼の目に視線を移して。

「くれぐれもFBIの邪魔になるようなことは・・・」
「百も承知ですよ」

そう釘を刺そうとしたが、皆まで言う前に彼は言葉を被せてきた。

もう最初から、何を言うか分かっていたようだ。

「・・・・・・」

この勘の良さを、赤井さんにかわれたのだろうか。
やはり、日本で動くのに私一人では力不足だったのか。

だから・・・彼のような協力者を作ったのだろうか。

「・・・昴さん」

不甲斐ない。
それは・・・自分の実力不足だから致し方ない。

私が弱かったから。
戦力にはならなかったから。

赤井さんだって、こう動くしかない。
分かっているのに。

それでも、この虚しさのようなものは・・・何だろうか。

「はい」

私の呼びかけに、彼は返事をしながら私の隣へと腰掛けて。

いつもであれば体が強ばったり、嫌悪感が出てくるはずなのに。

今の彼には、それらが働かなかった。




/ 368ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp