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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第7章 偶然は必然を嫌ってる




何がどうなれば、そんな考えに辿り着くのだろうか。
そもそも諦めるも何も、そんな相手いるはずもないのに。

「貴女の目が、そう言っています」

口だけは本当に上手い人間なのだろう。
でも今回の返答は見当違い甚だしい。

それに、先程の彼の言葉は。

「忘れて欲しくないんですか?」

まるでそう言っているように聞こえる。
言い寄る相手に有効的な言葉とは到底思えない。

これに対し、彼がどう返答するのかと、ふと視線を向けた時。

「・・・ッ」

ゾクッ、と背筋に冷たいものが走った。

「いいえ?」

笑顔なのは変わらない。
けれど、先程までとは纏っている空気がまるで違う。

「抹消してほしいと思っていますよ」

バーボンとして隣で仕事をしていた時と似ているが、それよりも殺気が強い気がして。

ずっと、噛み合わない答えばかりされているのに。
そんな事が気にならない程、彼の威圧に押されていた。

「でも、僕で上書きができるのであれば・・・それもまた良いかと思っています」
「・・・・・・」

挑戦的な目。
どこか楽しそうにも見えるそれは、私に色々な考えを巡らせた。

「その彼とは・・・どこまで進んでいたのですか?」
「・・・前にも言いましたが、何もありませんよ」

今の彼は一体、何を考えて質問を繰り返しているのだろう。

「連絡を取ったりは?」

まるで、尋問だ。
何もしていないのに、追い詰められているようで。

「してません。・・・というより、こんな話がしたかったんですか?」

・・・この話を切り上げたい。
その思いだけで、僅かに嫌悪感を滲ませて問い返してみると。

「・・・こういう話、というよりはひなたさんと話がしたかっただけですね」

先程までの殺気は消え、どこかもの寂しげな雰囲気が僅かに戻った。




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