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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第7章 偶然は必然を嫌ってる




「・・・分かりました」

なるべく笑顔で。
互いに正体をバラせば、笑顔を向けることもないのだから。

今くらい、和やかに会話をしても罰は与えられないだろう。

その後、隣の部屋に来るよう言われ彼の後をついて行くと、私が呑気に寝ていたベッドへ腰掛けた彼は、隣をぽんぽんと叩いて私を呼んだ。

その呼ばれ方に、以前にもこうされたことがあるな、と僅かに体が身構えてしまって。

「安心してください」

それを察した彼は、言葉通りに安心を誘うような笑みを私に向け。

「お話したかっただけです」

そう、優しく説明してみせた。

「・・・・・・」

何故だかは分からないが。
今日の彼の言葉に、嘘を感じられない。

私の感覚が鈍りきっているからだろうか。

「いつもあの男とばかり会っているようなので、たまには僕にも構って頂こうかと」

別に、会いたくて会っている訳ではないが。
そんな事を明かせる訳もなく。

おずおずと僅かに距離を取って、ベッドにそっと腰掛けた。

「・・・・・・」

話・・・、か。

「・・・安室さん」

どうしてポアロで働いているんですか。
どうして私に構うんですか。

あの時、ベルモットから私を隠そうとしたのは勘違いですか。

何故昨日、あの場にいたんですか。

・・・何が、目的なんですか。

聞きたいことは山程あるのに。
何一つ聞くことはできなくて。

それは私の力量もあるが、一番はテクニックが足りないことが致命的で。

分かっているのに何もできない自分への絶望感・・・彼への劣等感。

全て吐き出したくて仕方がなかった。

「違いますよ」

私が言葉に詰まる中、彼は突然否定の言葉を口にして。

まだ何も言っていないのに・・・と、どこか心拍数が上がるのを感じ取りながら、パッと彼の方へと視線を向けた。

変わらない笑みを浮かべたまま、私を見つめる彼と視線が交わった瞬間、心拍数が更に上がっていくのを感じた。




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