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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第1章 朝日は終わりを告げた




「少し遠くに停めてるけど、大丈夫?」
「うん、平気!」

子どもらしい態度で返事をされれば、周りは勿論、私はそれを受け入れざるを得ない。

相変わらず、ズルいやり方をする少年だ。

今はそれ以上の追求はできないまま、とりあえず二手に分かれて樫塚さんの家に向かうべく、外へと出た。

「どうして、私が車を持ってるって知ってたの?」

安室さん達と一度分かれ、コナンくんと2人で駐車場に向かいながら、数分前にできなかった追求を始めた。

私の問いに、彼は何故かニッと悪い笑顔を見せて。

「内緒!」

そう一言だけ、返してきた。

・・・成程。
本当にこの子は悪い子だったようだ。

「意地悪だなあ」

一応、こちらも笑っては返してみるものの。
心の中では笑いなんて1つもなくて。

彼らには見つからないように、注意深くしていたつもりだ。

私達仲間の中で物や話のやり取りが発生する場合に、車内を使う事も少なくなかった。

それはあの組織に居る時も似た様なもので。

なのにそれを・・・どこかで、見られていた。

どうやらこれまでの注意力では、足りないようだ。

「ねえ、ひなたさん」
「ん?」

駐車場に辿り着くと、暫く運転していなかった私の車へと2人で乗り込んで。

彼がシートベルトをしたのを確認しエンジンを掛けると、コナンくんが話を切り出して。

「ベルモットって人、知ってる?」
「ベルモット・・・?」

突然と言えば突然。
急に彼はそんな事を尋ねてきて。

彼が組織の事に首を突っ込んでいることは気付いているが、一体どこまで知っているのだろうか。

先入観を持たないように、彼の情報は必要最低限だけ持ったまま潜入しているけど・・・流石に今は少し乏しいとも思えてきた。

「ごめん、お酒なら分かるけど・・・人は分からないなあ」

勿論、私が知らないはずがない。

でもそれを今、彼に知られる訳にはいかない。




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