• テキストサイズ

【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第6章 ファーストコンタクト




「誤魔化せると・・・思っていますか?」

その言葉に、背筋が凍った。
危うくそれが、表情にも出るところだった。

彼の表情は至って真面目。
私を挑発するような態度ではなかった、が。

どうにもその言葉は、煽っているようにしか聞こえなくて。

「・・・安室さんは」

私から、どんな答えが欲しいのか。

回りくどい会話を止め、単刀直入にそう尋ねようとした時。

「!」

入店を告げるドアベルの音が、私達の元へと届いた。

「・・・お客さん来たので、行きますね」

これは良かったのか悪かったのか。
結局ハッキリとさせられないまま、彼の傍をすり抜けホールへと戻った。

「いらっしゃいま・・・」

ドアを開け、声を掛ける。
その一連の流れが、段々とスローモーションになり止まっていく。

「こんにちは」

それは、目の前に。

「昴さん・・・っ」

彼が、現れたから。

「今日も貴女のコーヒーが飲みたくなりまして」

飽きもせず、毎回こうして突然ここに来るのは何なのか。
それもバーボンがいる日を狙ったかのように。

現れるのであればせめて、彼のいない場所にしてほしい。

そんな叶うはずのない願いを乗せながら、涼しい顔をして出入口付近に立つ彼を呆然と見つめると、バックヤードから安室さんが姿を現して。

「・・・おや、貴方でしたか」

昴さんに気が付くと、安室さんの視線は酷く鋭いものになった。

抑えきれない殺気が、私の背中にまで深く突き刺さってくるようで。

本当に・・・店内でこういうムードを作られるのは、お客さんが少なくてもごめんなのだが。

そもそも彼らがどうしてここまで揉めるのか、私には理解ができない。

「安室さん、あくまでもお客様ですから」
「ええ、分かってますよ」

本当だろうか。
そう言いたくなる目付きを、彼は貫いたままだが。

「昴さん、コーヒーで良いんですよね?」
「お願いします」

飲んだらさっさと帰ってほしい。
言いはしないが、視線で分かりやすく伝えた。

彼なら察しないはずがない。
・・・無視をされない限り。




/ 368ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp