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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第5章 笑顔と泣顔が行着く先※




怖い。
真っ先に襲うのは、快楽よりもそんな感情だと気付いた。

目の前が真っ白に、そしてあの時の記憶や感覚が蘇ってくるようで。

その記憶から目を背けるように瞼を固く閉じ、首を横に振った。

「大丈夫。軽く落ちるだけです」

私の感じている恐怖を知ってか知らずか、彼はそう言って私に体を密着させると、軽く抱きしめた。

その体温に安心感を覚えたことは、否定できない。
服越しに感じる彼の体は、意外にも筋肉質で。

・・・何かに縋りたい、掴みたい衝動を抑えるだけだ。

そう自分を説得するような言い訳を心の中で繰り返すと、掴んでいたものをシーツから彼の服へと移り変えた。

「ッ、あ・・・」

何か、くる。
体が・・・熱くなって、何かが襲ってくる。

「昴、さん・・・っ」

それを感じるのは、とてもいけない事のような気がして。

嫌だ、と小さく首を振って抵抗してみたが。

「そのまま、楽にしていてください」

彼は抱きしめる力を強めると、指の動きを僅かに早め、私を襲う快楽の度合いを大きくさせた。

「い、ぁ・・・あぁ・・・!!」

全身が震え、声が無意識のうちに漏れ出る。

もう・・・何も考える余裕なんてない。

ただ何かが私を襲い、包み、そして。

「やっ、あぁ・・・ッ!!!」

快楽の種を植え付けていった。

今までに味わったことのない感覚。
それが襲った後の倦怠感は酷く、体は信じられない程の疲労感を覚えていた。

「分かりましたか?達するという快楽が」

・・・赤井さんの時にはなかった。
いや、敢えて与えなかったのかもしれない。

快楽が麻薬だというのはあながち間違いではないと思えるほど、それは酷く衝撃的で。

「・・・・・・」

もう一度、欲しいかと問われれば怪しいものではあるが。

・・・これを求め、これに惑わされ、情報のやり取りをするという意義は少しだけ理解できたように思えた。




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