第5章 笑顔と泣顔が行着く先※
「い、ぁ・・・っ」
見悶えるような感覚に、体を捩らせて。
何かを掴みたい、そんな衝動が抑えられなかった。
今はシーツ意外に掴むものがなく、掴みごたえのないそれを必死に引き寄せながら、体を襲う妙な感覚に耐えた。
「・・・ふ、ぅ・・・っあ・・・」
どうにか呼吸をしようと吐いてみようとするが、上手くいかない。
この酷くもどかしい感覚が、何よりも悔しくて。
「随分と、可愛らしい表情をするんですね」
どんな表情なのか、気にする余裕もない。
・・・それは、体を襲うこの感覚が、形と大きさを変えたからだろうか。
「っ、・・・あ・・・ッ」
体が・・・勝手に反応して、声が出てしまう。
それは特定の場所に彼の指が触れたからだとは思うが、それがどこなのかも・・・何故体が反応しているのかも。
分からない・・・というよりは、どうでも良くなっていて。
「・・・一度、落ちてもらいますよ」
彼の言葉も、そう聞こえはしたが本当に言ったのかどうかは分からない。
思考力が鈍る感覚に、脳はずっと危険信号を身体中に発信していた。
「や・・・っ!?」
彼の、指が。
私のナカで動き始めて。
その瞬間、これが快楽なのだと、ハッキリ分かる感覚が全身を走った。
「待っ、・・・おき、やさ・・・っ!!」
・・・少し、気持ち悪い。
けれど、体だけはそれを異常に求めている。
その不思議な感覚が、脳も体もすべてをおかしくさせた。
「ミスはペナルティを与えますよ」
耳元で囁かれた吐息にすら、体が反応する。
そんな中で、ミス、という彼の言葉を僅かに残った思考力で考えて。
・・・そうか、名前か。
思考力だけでなく、学習能力も無くなっているようだ。
「昴さ・・・っ、あぁ!!」
呼び直した所で、ミスは取り消せないが。
彼もペナルティと言ったことを実行するように、指の動きを僅かに早めた。