• テキストサイズ

【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第5章 笑顔と泣顔が行着く先※




「ひなたさんがポアロに来た理由って・・・何?」
「・・・・・・」

彼のどこか私を疑うような表情に、揺さぶりでもなんでもない質問だと分かった。

なんだ・・・そこはまだ彼も気付いていないのかと、どこか安堵に似た感情を湧き上がらせながら、ニッと意地悪に笑みを向けた。

「・・・!」

その表情を見たコナンくんは、素直に驚いた表情を見せて。

こういう反応は、子どもらしくて良い。

「女は秘密を着飾って綺麗になるものだから」
「!」

・・・忘れたくても、忘れられない言葉。
それを彼に笑みを向けたまま伝えれば、どこか驚きの表情が強ばったようにも見えた。

「なんてね・・・」

気付いていないが、検討はついているのだろうと、ため息のように息を吐きながら呟くと、彼は暫く言葉を挟まなかった。

・・・何故かは知らないが、組織の事を追っている彼なら・・・さっきの言葉も、聞いたことがあるのかもしれないな。

「コナンくんをずっと見てたって言ったら、驚く?」

彼の検討というものがどこまでのものなのか。
少し確認してみたくなって、興味本位で聞いてみたが。

「・・・ううん、組織から僕を監視しに来たんじゃないかなって思ってた」

こちらも確証がないだけで、殆ど答えとしては合っているようなものだった。

「監視されるような覚えがあるんだ?」
「まあね」

・・・彼は組織に目をつけられているのだろうか。
でも何故、こんな子どもが?

それに、私が潜入していた頃にそんな話・・・。

「・・・・・・」

それはそうか。
私が組織にいた数年前、彼は何歳だったというのか。

まあ、今の年齢でも、それは不可思議なことではあるが。

「!」

そう彼の顔を見つめながら考えていると、今度は彼がニッと意地悪そうに笑みを向けて。

「探偵は秘密主義だから!」

得意気に、そう言ってみせた。
そんな彼を見て、敵わない、と率直に感じた。

それは頭脳的というよりは、人間的に・・・かもしれない。



/ 440ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp