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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第5章 笑顔と泣顔が行着く先※




「そういえば、バーボンとは一緒に仕事をしてたんでしょ?」

話題を僅かに変えられるように切り出されたが、この小さな子から組織のことが話されるなんて。

日本は比較的平和な国だと思っていたが・・・まあ、私達がこの国に来た時点で、それも少し崩されているのだが。

「まあ・・・少しだけね」

あまり思い出したくない記憶を過ぎらせながら返事をすると、僅かに表情にも滲み出てしまった。

ただ、もう隠す必要もないが、本当に隠さなくても大丈夫なのか、という不安は拭えていないままで。

「じゃあ、バーボンが未だにポアロにいるのは何の為だと思う?」
「・・・それって、試されてる?」

もう彼には答えが出ているのに、検討がついていない私にわざわざ尋ねているのかと思った。

「ううん、純粋な質問」

けれどそうでは無い事に少し安堵しつつも、答えが無い事にため息を吐き、膝に肘を置き頬杖をついた。

「・・・それが分かれば、私も助かるんだけどね」
「ひなたさんも分からないんだ?」

それ所か。

「最初からね」
「最初から?」

ポアロに来た理由すら分からない。
その理由を探る為に、1週間後から本格的に動く予定ではあるが。

その愚痴を零すように呟きを漏らせば、彼はやけに食い付きを見せた。

「ひなたさんが目的じゃ無かったってこと?」
「情けない話だけど、それすら分からない状況」

限りなくその可能性は高いと考えているが、それが全てだとも思えない。

結局、バーボンが姿を現してから今の今まで、なんの進展も無いままだ。

その上、監視対象であるコナンくんには、こうして正体までバレてしまった。

赤井さんに連絡が取れないのは、不幸中の幸いだろうか。

「まあ、あと1週間もすれば、多少動きがあると思いますよ」

今まで言葉を挟まなかった沖矢さんは、不気味な笑みを私たちに向けながら、楽しげにそんな事を言ってきて。

本当に、デリカシーの欠片もない男だ。




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