第5章 笑顔と泣顔が行着く先※
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夕食を終えソファーへと腰かければ、もう日付が変わろうとしていた。
「・・・そういえば、コナンくんはどうしたんですか」
そもそもここへ来たのは、彼に呼ばれたからだ。
いくら隣に住む阿笠博士の家に泊まるからといって、子どもが出歩くには良くない時間で。
「彼なら、そろそろ来る頃じゃないですか」
彼らは、いつもこんな時間にやり取りをしているのだろうか。
そう思う程に、いつも通り・・・といった空気感が流れていた。
「!」
沖矢さんの言葉通り、そろそろと言った10数秒後、小さな探偵は僅かに息を切らしながら部屋へと駆け込んできて。
「ごめん・・・っ、遅くなっちゃった」
「大丈夫。私も少し前に来たばかりだから」
彼の遅れてきた理由というのが気になるところではあるが、そこまで深掘りする必要もないだろう。
それより今は彼の為にも、この話を早く切り上げるべきで。
「それで・・・何か用だった?」
私の隣に座る彼に目を向けながら問えば、彼は笑みを浮かべながら私を見つめた。
「もう少し、はっきり聞いておきたいなって」
「?」
どこか勝ちを見越したような笑みだ。
自信の強さが現れるような、そんな印象を受けた。
「ひなたさんがウェルシュって呼ばれてたのは、もう過去のことだよね?」
「・・・・・・」
その質問においては、そんな事か、と率直に思った。
「確信があるから、私に協力を求めたのかと思ってたけど?」
どこで彼がそう思ったのかは知らないし聞かないが、だからこその要請だと思っていた。
私のその言葉に彼は先程までの自信の強さを少し弱めながら、視線を斜めへと逸らして。
「まあ、あるにはあったんだけど・・・」
語尾を濁す彼に、確信はあったが確証が無かったことを薄ら察した。
こんな小さな探偵にここまで探られれば、赤井さんには酷く叱られてしまいそうだ。