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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第5章 笑顔と泣顔が行着く先※




「その様子では、最後は彼にやたら愛されたようですね」

そこまで分かっているのなら、さっきの言葉は不要ではなかったのかと、彼には分かりやすくため息を吐いた。

「不本意ながら」

窓から入ることになってしまった私に差し伸べられた彼の手を取ると、靴を片手にそこから侵入して。

玄関に靴を置き、スリッパへと履き替えた後、ようやく一息ついて。

「コナンくんからは殺人事件に巻き込まれたと伺いましたが」

なんだ・・・もう粗方聞いているのか。

「ええ・・・でも、探偵が3人もいたので」

毛利探偵と、小さな探偵くんと・・・毛利探偵の弟子の探偵が。

「それもそうですね」

ただ、彼らがいなければ事件は起きなかったかもしれない。

そんな意見は私の胸の中だけにしまい込んで。

「夕食、まだですよね。肉じゃがを作ったのですが、いかがですか」

呑気なものだ。
大学院生だという彼だが、勉強をしている姿は一度も見たことがない。

そもそも私は、彼がただの大学院生だとは少しも信じていないが。

「・・・いただきます」

コナンくんと繋がっていると分かったせいか、ここでの食事はかなり気を許している気がする。

それでも、警戒心を緩めないよう気を張りながらキッチンへ向かう彼の後をついて行った。

「それで、何か収穫はありましたか?」

収穫、と言われれば何もないけれど。

「・・・1週間の期限がつきました」
「ほぅ?」

徐ろに足を止めてしまった私に、彼は振り向きながら視線を向けた。

「1週間後、彼に返事をするという約束をしてしまっています」

独断だった上、急過ぎる期限だと自分でも思う。
それでも、これ以上期限を伸ばすことは不自然だとも思ったから。

「成程、それまでには大方こちらも準備をしなければいけませんね」

こういう時の沖矢さんは、飲み込みが早くて助かる。

察する能力は高いのだから、とぼけ癖だけ無くしてくれれば良いのにと、心の底から思う。



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