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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第5章 笑顔と泣顔が行着く先※




「それは、何の為?」

取引をする訳ではないが、こちらも多少のリスクはあるから。

理由くらいは聞いても構わないだろう。

「・・・安室さんが、悪い奴らの敵かどうかを確認する為」

彼がバーボンだということは、薄ら気付いているのか。
本当にこの子は何者なのだろう。

「どうして私に?」
「だって安室さん、ひなたさんの事が好きみたいだし」

好き・・・なんて単純な言葉だけで片付けられれば、どんなに後始末が楽な事か。

「フリだろうけどね」

本気にした方が負けだ。
相手はプロなのだから。

「それに、ひなたさん・・・強いでしょ?」

それは物理的に、なのか。
それとも精神的に、か。

・・・まあ、どちらも。

「買い被りすぎだよ」

彼が思う程、強くはないけど。
けれど、どこか入り切っていた力が抜け、笑みが零れた。

何だか・・・久しぶりに笑った気がする。

「・・・ひなたさん、やっぱり笑ってる方が綺麗だよ」
「!」

やっぱり、というその言葉に少しドキッとした。
沖矢さん以外の前では笑顔でいたつもりだったけど。

・・・上手く、笑えていなかったのかもしれない。

こんな子どもに気付かれているようでは、私もまだまだだな。

「そういうのは、彼女に言ってあげなきゃ」
「い、いないよ・・・ッ!!」

珍しく慌てる彼に、また笑いが溢れた。

そんな柔らかい時間も・・・。

「楽しそうですね」
「!」

バーボンが現れれば、途端に緊張の糸がピンッと張られる。

「もう練習終わり?」

子どもらしく無邪気に安室さんへと問いかけると、彼もまた目線を合わせるようにしゃがみ込んで。

「好きな人が別の男性と楽しそうに話していたら、気になるだろう?」

そう、何の恥ずかしげもなく答えた。
流石にそれにはコナンくんも苦笑していたが。

この後、私達は例によって殺人事件に巻き込まれるのだが・・・小さな探偵と金髪の探偵によって、事件は案外あっさりと解決してしまったのは、また別の話。




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