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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第5章 笑顔と泣顔が行着く先※




「それで、赤井秀一と連絡は取れましたか?」

・・・私が、あの人にコンタクトを取ろうとしているのは察しているのか。

まあ、それは彼も何となく予想できるだろうな。
この日本で、私が連絡を取れる人物は数少ない。

赤井さんと、数人のFBIの捜査員。
捜査員には時々、銃を隠し持ってもらったりしていた。

その為の車はコナンくんにバレていたようだから、もう使えないが。

「沖矢さんは、あの人とどう連絡を?」

注意深く、あまり電話には出ない人だ。
大体はメールで済ませているが。

今はそのメールの返信すらないのに。

・・・この男は、どうやって連絡を取っているのか。

「それは彼から口止めされていますので」

ずっと、疑問だったのに。

彼は口元に人差し指を当て、口を閉ざすジェスチャーをしてみせて。

更に苛立ちを募らせてしまった。

「・・・今日はもう帰ります」
「おや、夜はこれからですよ」

心の準備をして来なかった訳ではない。
けれど、今はそんな気分でもない。

「バーボンも、いつ仕掛けてくるか分かりませんが」
「・・・・・・」

分かっている。
分かっているが、何もかもが拒絶する。

あの人に言われたからという理由が、傍から見ればおかしいことも。

バーボンがいつ手を出してくるかも。
その為に、沖矢さんと準備を重ねなければいけないことも。

・・・分かってはいるけど。

「・・・今日は、無理です」
「そうですか」

案外あっさりと引き下がった彼に目を向けるが、飽きれる様子ではなく、いつもの穏やかでいけ好かない笑みを向けていて。

「無理強いはしません。気持ちが前向きでなければできない事ですから」

・・・あくまでも、彼は私の気持ちを先に考えるのだな。
今回の件を決める時もそうだった。

任務のことを一番に考えているようで、まずは私の意思をそこへ向けることから始めた。

意外とやり方だけは紳士的なのに、と何度目か分からないため息を吐いて、その日は帰路に着いた。




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