• テキストサイズ

【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第4章 どっちつかずの涙の雨




「この爆弾で連結部分を破壊して、貨物車だけを切り離し、止まり次第僕の仲間が君を回収するという段取りです」

・・・おかしい。

「その間、君には少々気絶をしてもらいますがね」

聞き間違いでなければ、彼はシェリーを生きたまま組織に連れ帰ると言っていた。

けど。

「大丈夫。扉から離れた位置に寝てもらいますので、爆発に巻き込まれる心配は・・・」
「大丈夫じゃないみたいよ」

・・・そう。
今のままでは、大丈夫なはずがない。

「この貨物車の中、爆弾だらけみたいだし」

連結を外して、自分達の身を安全にしておいて、シェリーだけを確実に抹殺する。

そう、思っていたのに。

「どうやら段取りに手違いがあったようね」

もしかして・・・貨物車の爆弾のことを、バーボンは知らなかったのか?

だとすると、ベルモットと協力体制ではないのだろうか。

「仕方ない・・・僕と一緒に来てもらいますか」
「悪いけど、断るわ」

・・・バーボンは、シェリーを生きて連れ帰りたい。
ベルモットは、抹殺しておきたい。

そして当の本人、シェリーは・・・自ら死ぬことを望んでいるようだ。

「噂通りの困った娘だ。少々手荒く行かせてもらいますよ」

貨物車のドアが閉じられたことを音で感じ取ると、何となく外の状況が読めた。

このままでは、シェリーを生きて連れ帰ることは難しい。

そう、思っていた時。

「・・・?」

隣にいた赤井さんは、徐ろに私の肩を叩いて視線を向けさせると、自らの口元に人差し指を当て、静かにしていろとジェスチャーで再び伝えた。

それはもう言われなくても分かっている、と首を傾げて応えるが。

「!?」

彼の手に握られたものを見た瞬間、念押しされた理由をしっかりと察した。

・・・彼の手には、ハンドグレネードが一つ。
しかも安全ピンに指が掛けられている。

まさか、なんて思ってはみたけれど。
そうしない理由の方が見つからなくて。

目を見開いては、彼に本気なのかと視線で訴えた。




/ 368ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp