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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第4章 どっちつかずの涙の雨




「・・・ッ!!」

口元を手で覆われたかと思うと、目の前にドアのあった貨物車に一番近い、真っ暗な部屋へと引きずり込まれた。

体格、力からして、引きずり込んだのは男。
バーボンではないことは感覚で分かるけれど。

・・・珍しく、別の仲間を連れて来たのか。

だが、片手は口元にあるが、幸いもう片方の手は私を捕らえていない。

逃げる手はいくらでもあると、スカートを捲り上げ、レッグホルスターに手を掛けた時だった。


「静かにしていろ」


「!!」

低く、体に響くような囁き声。
それは酷く聞き覚えのあるもので。

心臓が、止まったかと思った。

あまりにも驚き過ぎて、声を出す余裕も何も無かった。

「・・・できるな?」

どうして。
・・・どうして、彼がここに。

「・・・っ」

なぜ・・・赤井秀一が、ここにいる?

「まあ、できないとは言わせないがな」

彼の問い掛けに返事をする事もできないまま、私の口元を塞いでいた手は解かれ、頭を数回軽くポンポンと叩いた。

「・・・・・・」

暗闇でハッキリと確認できないが、私が彼を間違えるハズがない。

目の前にいるのは、間違いなく赤井秀一、本人だ。
部屋は暗いが、この近さなら顔も判別がつく。

顔に火傷の痕も・・・無い。
やはり、車内で見たあれは変装だったのだと確信した。

「・・・来たな」
「!」

外の様子を伺う彼が、ドアの方へ視線を向けながら呟くようにそう言って。

呆然と立ち尽くしていた私もふと我に返ると、静かに聞き耳だけを立てた。

「・・・ーー」

声が・・・近付いてくる。
これは。

「ご心配なく。僕は君を生きたまま、組織に連れ戻すつもりですから」

・・・バーボンだ。
ということは、その言葉を向けているのは・・・シェリーか。

本当に彼女が最後尾にやって来るとは思わなかったが・・・沖矢さんやコナンくんは、一体ここからどうシェリーを救出するつもりなのか。

そもそも、隣にいる彼・・・赤井秀一は、誰かの味方として、ここにいるのだろうか?




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