第4章 どっちつかずの涙の雨
「最後尾に、お目当ての物が」
「やはりそうですか」
私の返答に、彼は予想通りだったと零して。
結局、彼の予想を確認する為に動いていたのか、と小さく睨み付けながら、彼の目の前のベンチシートへと腰掛けた。
「解体はしなくて良かったんですよね?」
「おや、そんな事までできるのですか?」
言うべきでは無かっただろうか。
いや、多分問い方を間違えた。
解体をしなくて大丈夫なのか、とでも尋ねれば良かったのか。
わざわざ、爆弾解体ができることを自らバラしてしまったことに、自分の不甲斐なさを感じた。
これから解体しに行け、とでも言われるだろうか。
「でも、それは不要です」
「・・・?」
けれど、今日は尽く予想が外れる。
まあ、そこまで冴えている日というのも少ないのだけれど。
「ここで始末される可能性があるんですよね?」
ベルモットやバーボンも乗車している以上、恐らくシェリーをあの貨物車に誘導し、連結部分を破壊してから爆破する予定だろう。
シェリーを救うのであれば、爆弾は解体しておいたほうが安全だと思われるが。
「シェリーは始末した、と思わせておかなければなりませんから」
「・・・?」
どうやってその方法を取るのか。
まさか、爆破する列車から逃げ出させる・・・とでも言うつもりだろうか。
「それにこちらには、強い味方がいますので」
彼は明確な答えを示さないまま、更にそう告げて。
それは私も話がしたかった、と溜息に近い息を長めに吐いた。
「・・・名探偵、ですか」
「おや、見つけられましたか」
どっちの立場で見つけられた、と言っているのかは分からないが。
やはり、コナンくんは彼の協力者として乗車しているのか。
・・・と、いうことは。
「名探偵とは会っていませんが、マジシャンとは会いましたよ。ついでに、バーボンとも」
「おやおや。穏やかではないですね」
名探偵に使われているというあのマジシャンとも、沖矢さんは仲間に近い存在ということなのか。
彼は仲間でも敵でもないと言っていたが。