第3章 チェイスの賢い始め方※
「・・・別に、自分のことは自分でどうにかしますから」
「まあ、そう言わず」
協力者ではあるが、あくまでも仲間ではない。
折角貸しができるのに、そんなものでチャラにされては、たまったものでは無い。
それより1つ、気になる事がある。
「・・・そもそも、沖矢さんにとってのメリットって何ですか?」
「メリット、ですか」
殺されそうなシェリーを助け、味方につける為なのか。
組織にいた頃、沖矢さんとシェリーに、何か特別な関係があったからなのか。
「シェリーを助けて、沖矢さんにメリットがありますか?」
理由で今回の協力を切ることは今更無いが、単純にその理由が気になった。
何故、沖矢さんの様な人が、シェリーに固執するのか。
「僕は、メリットがあるからシェリーを助けるのではありません。勿論、シェリーだから助ける訳でもありません」
私の質問に、彼は言葉を選ぶことなく、ハッキリとそう答えて。
思わず、僅かだが目を見開いた。
「・・・組織に暗殺されそうな人がいるから、助けるんです」
正直、意外だった。
彼がそんな偽善的な考えをするなんて。
「そう・・・ですか」
ならば尚更、今回のことは私を巻き込む為だという考えが強まってしまうが。
もうこの際、この追求はここで止めておこう。
「でも、2人でどう作戦を練るんですか」
シェリー1人を助けるのなら、難しいことではないかもしれないが。
車両全体となると話は大いに変わってくる。
ましてや車両全体に爆弾でも仕掛けられていたら。
・・・あの人に相談できれば、手を貸してくれるかもしれないけれど。
連絡が取れない今ではどうしようもない。
そう、考えていたけれど。
「僕は2人だとは言っていませんよ」
「?」
どうやら、彼の別の協力者が今回は手を貸してくれるようで。
「まあ、2日後を楽しみにしていてください」
まだその正体を知ることはできないようだけど。