第6章 目覚める心
side 影山
柊千帆
それは多くの雑誌で取り上げられた天才セッター。
俺とは違って仲間を中心としたプレーで優勝へと導いたスゲー奴。
そんなすごい奴が中学総体後、選抜メンバーからも選ばれておきながらそれを拒否し、女子バレーから姿を消した謎の選手が今目の前にいる。
基本的感情の機微が疎く、はっきりいってしまえばボーとしているように見受けられるこいつは幾分か高い俺を不思議そうに見ていた。
「影山くん、その飲み物って美味しいの?」
「うまいんじゃねぇの?」
「自分の味覚に自信がないのね」
一々勘に触るような奴でもある。