第5章 絶望
午前5時。
こんなに朝早くから学校に来るなんて思いもしなかったし、思いたくもなかった。
ふわぁ…と眠気がいまだに取れなく大きな欠伸をずっとしている私は、ベンチで翔陽と影山君の練習を見届けていた。
「えっと君、柊千帆ちゃん…だよね?」
うつらうつらし始めた頃にそんな問いを投げ掛けられ重い瞼をゆっくりと上へ上げ、声の主に視線をやった。
そこには、色素の薄い色をした髪で泣き黒子が多分チャームポイントであろう先輩がたっていた。
「そう、ですけど……、私の名前」
教えましたっけ?と首を傾げてみると、苦笑いしながら先輩は種明かしをしてくれた。
「去年の総体で全国優勝を成し遂げた天才セッターで有名だよ?」
「そうですか」
『天才セッター』ねぇ…
心の内で毒ついていると、先輩は自己紹介をしてくれた。
彼は三年生で菅原さん、と言うらしい。
皆からは菅さん、と呼ばれている模様。暴君影山君と違い、部員からの信頼はとても厚そうだ。
現に練習に付き合ってくれている田中先輩とやら言う人は菅さんに信頼を寄せている。
(太陽に近すぎた鳥はなんとか、ですしねー)