第3章 エウリュディケ荘園
二階に上がって階段から10番目の部屋が僕の部屋らしい、廊下からみて右隣の部屋は一番奥の部屋だ
ナワーブ「ここ、お前の部屋。最低限の家具はあるし鍵もかけれる。左が俺、右はビクターって奴だ」
鍵を預かり部屋を確認する、綺麗で整っている
ナワーブ「お、ビクター!ちょうど良かった!」
バタバタと廊下を走っていく彼、戻ってきたと思ったら可愛らしい顔の男の子の首根っこを掴み引きずってきた
『ちょ……苦しそうだぞ!離してやれ!』
顔青ざめてるし、目もふらふら游いでる
ナワーブ「ん?ビクター!おい、大丈夫か?!」
『揺さぶるな!座らせて安静にさせろ!僕は水汲むから!』
ビクターと呼ばれた子を座らせ、水を飲ませる
『野蛮な呼び止め方で済まなかった……気分はどうだい?』
僕も座り彼に問うと、にこりと微笑んで首をゆっくりと横に振った
ナワーブ「ホントにすまねぇ……」
『ナワーブはもう少し慎んだ行動が必要だな』
ビクターを見ると、気にするなと言う風に微笑んでいるだけだ
ナワーブ「改めて、こいつがビクター・グランツ。ポストマンをしてる」
ビクターは恥ずかしそうに、にこにことしている
ナワーブ「ついでに言うと社交恐怖と視線恐怖だ」
『あまり見ない方がいいってことかい?善処しよう』
ナワーブ「ビクター、こいつはフロード・セツナ。お前と似たような奴だ」
ビクターは少し目線を泳がせてからまたにこりと微笑んだ
『…隣だから何かと頼るかもしれない、その時は…あー……』
ナワーブ「お前もお前だ、人間嫌いかなんだか知らねーがここじゃ嫌でも関わる。いい機会だ、変わってみろよ」
『………人間は嫌いなんだよ』
ナワーブ「ふ~ん、俺も嫌いなわけ?」
たくさん話したのにとニヤニヤしながら聞いてくる
『別に、悪いやつとは思ってないさ』
ナワーブがまだニヤニヤしているが無視しよう
『…改めて、よろしくビクター。君とは境遇が似てるみたいだから…その、頼りにするよ』
ビクターは今までで一番の笑顔を見せてくれた