第3章 エウリュディケ荘園
ーーナワーブside
ナワーブ「段階的な治療……あ"ーっ!駄目だ、頭痛くなってきた」
イライ「今日はもう休んだ方が良いね、セツナは私が預かるよ」
イライのその提案は、セツナ的にも俺的にも有難い。流石にああいうことの後で一緒は気まずい
ナワーブ「すまねぇな……コイツのこと頼んだ」
イライ「あぁ、任されたよ。おやすみ、ナワーブ、エミリーさん。良い夢を」
そう言うとイライは、セツナを抱えて食堂を出ていった
エミリー「私達もそろそろ寝ましょう」
ナワーブ「だな、さっさと寝るか」
くぁっとあくびを溢してから、自室に戻った
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『………ん、』
イライ「起きたかい?」
『……?おき、た…』
何でイライの声がするんだろう……あぁ、頭が働かない
『……なんで、イライが?ナワーブは?』
イライ「ナワーブなら、と言うかほとんどの人達は寝たよ。酒飲み達はまだ起きているけれど」
『そっ……か、で、何でイライが?』
イライ「酔い潰れた人を放っておけとでも?ナワーブが中々に手を焼いていて面白かったよ」
『僕も、それ見たかった……』
イライ「その言い分だと覚えていないようだね」
その言葉に疑問が浮かぶ、僕はずっと寝ていたわけではないようだ…が、思い出せない
イライ「さぁ、夜も更けた。そろそろ寝ないと明日に支障が出るよ、部屋にはそれぞれ簡素なシャワールームがある。明日入ると良い、では良い夢を」
そう言い残し扉へと歩むイライ、その背中を見ると何故か苦しくなった
ねぇ……イライ…
イライ「……っ、どうしたんだい?」
その声にハッとする、イライの服の裾を遠慮がちにだが掴んで引っ張っていた
『ぇ……っと、僕…苦しいんだ。とても…イライが僕から離れただけなのに辛いんだ…っ』
イライ「うん…」
『なん、て…どう言えば分からない…分からないんだ。ただ、言えるのは……』
そこで息を吸いゆっくりと呟いた
『……行かないでくれ』
イライ「……うん、今はまだ分からなくて良いんだ。いつか分かるから」
ココにいてくれ…永遠に……