第3章 エウリュディケ荘園
ーーナワーブside
エミリー「なるほどね…まぁ、判断としては適切よ」
ナワーブ「そうか…なら良かった」
エミリー「それは良いんだけれど…普段から薬と言うのは、頂けないわね」
ナワーブ「あぁ…でもこればっかりは俺らがどうこう出来るもんじゃ無いだろ」
エミリー「そうだけど……詳しく話は聞きたいわ」
それもそうだと思い、セツナの方を振り向くと居たはずのセツナが居ない
ナワーブ「あ?!あいつ…どこ行った?!」
エミリー「私も話に集中してて……」
キョロキョロと辺りを見回すと、イライが小さく手を上げているのに気がついた
ナワーブ「おいっ、イライ!…どういう状況だ?」
イライ「いや…私も良く分かっていなくて……」
駆け寄って見ると、セツナはイライの膝に乗り抱き着く体勢で眠っている
イライ「ぇっと…状況が未だ掴めていないんだ…」
そう言いながらも、愛とおしそうにセツナの頭を撫でている
ナワーブ「……寝ろって言ってたからか?」
エミリー「でも、睡眠薬を普段から使っているんでしょう?…そう簡単に眠れるかしら」
一体なんでこんな場所で寝たんだと頭を抱えていると、意外にもイライが声を上げた
イライ「確か…ナワーブが一緒に寝てくれないと呟いていた、睡眠薬は寂しさを紛らわせるモノなんじゃないだろうか…?」
ナワーブ「寂しさぁ?!…っても、コイツ人間嫌いだぞ?寂しいなんて…」
イライ「無意識に感じているんじゃないか?けれど、セツナはまだ【寂しい】という答えに辿り着いていない。だから誰かと一緒に寝たいと言う考えが浮かばない、人嫌いだからね。だから…」
ナワーブ「何も考えずに寝られる睡眠薬を……」
イライ「大方そうだと私は思うよ。先程の言葉も酔った勢いの物だと思うし、泥酔時の記憶が残るタイプでない限り、また睡眠薬に走るだろうね」
ナワーブ「マジか……エミリー、どうするのが最善だ?」
そう問うと、エミリーは顎に手をあて少し考えてから口を開いた
エミリー「そうね……やはり最終的には睡眠薬を使わずに眠れることが理想ね。段階的な治療になると思うわ」