第3章 エウリュディケ荘園
『………』
ベッドに座り直し、水をチビチビと飲む
ナワーブ「……女かぁ、なるほど」
『ふふ、意外?…それとも納得した?』
ナワーブ「いや、声も顔も中性的だから…意外っつーか、いやそうかもな」
『…女だって知られたら舐められたり、危ないことあるから隠してたんだ』
ナワーブ「あのなぁ、過去は知らねーけどここにいる奴らにそんなのは居ねぇよ」
ナワーブは隣に座り、僕の顔を両手で掴んでくる
『……うん、ナワーブがそう言うなら信じるよ』
ナワーブの手に自分の手を重ねてみる
『…こんな温かくて綺麗な人達は、見てこなかった。だから…ここにいていいのか迷うの』
ナワーブ「あぁ、拒むやつはいねーよ」
『…うん、ありがと』
ナワーブ「セツナはもっと、気楽に自由にいるべきだ」
『そうしてるつもりだけど…』
ナワーブ「いーや、まだ何かに囚われてるだろ。それが何かは分からねーけど」
『僕だって分からないよ…そっか……』
気楽になんて生きていけるんだろうか…自由になんて…
『ナワーブ、一つお願いがあるんだけど』
ナワーブ「ん?何だ?」
『僕、本当にナワーブを嫌ってないか確かめたいんだ』
ナワーブ「どうやるんだ?明日からのゲームか?」
『ううん、ナワーブはそのまま僕の隣にいてくれれば良いよ』
ナワーブ「?分かった」
これは全部本音、本当にナワーブを…荘園の人を嫌わないか確証がほしい…だから
『ごめんね、ナワーブ…ありがとう』
そう言って、ナワーブの唇に軽くキスを落とした
『じゃあね、おやすみナワーブ』
ナワーブ「ぇ…お、おいっ!お前、何してっ」
みるみる顔を赤くする彼を見て、嫌いじゃない、大丈夫と思った
『言ったでしょ、嫌いじゃないか確証がほしいって』
ナワーブ「だからってお前、女が易々とこんな真似すんじゃねぇ!」
『こうでもしないと分からないでしょ、ナワーブに嫌悪感は沸かなかった』
ナワーブから目線を外して
『良いじゃん、こんな美人とキス出来たんだから』
ナワーブ「お前っ…はぁ…もういい。馬鹿らしいわ」