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この愛は呪いだ【呪術廻戦】

第1章 転校生は・・・オンナ






「術式を使いすぎた反動で失神したってことですか?」


「そういうことだ。」


「だっさ。やっぱり弱っちぃな。」




ゲラゲラと腹を抱えて笑う悟の横で、夜蛾先生から転校生の話を教室で聞く。当の彼女は硝子の反転術式によって頬の怪我を治してもらったが、気を失ったまま未だ目を覚まさない。熱もまだあったが、できる限りの治癒を行い、“時期に目覚めるよ”と硝子が言うのだからきっと問題はないのだろう。



「簡単に説明すると、山田の術式は相手の脳内に入り込み、魂に触れることができる、稀な術式だ。」


「魂?」


「云わば呪いの核、心臓だ。」


「ますます気色が悪いね。」




なんて相も変わらず悟は、笑い上戸にでもなったのかゲラゲラと涙を流す。この場に転校生がいなくてよかったと心底ほっとした。彼女もなかなかに口が達者だったし、二人がケンカする未来は想像に容易い。


そんなことを考えているともつゆ知らず、先生は話を続ける。




「山田の術式をみて何か気になることはなかったか?」


「なんでアイツは低級の呪霊と会話できんの?」


「それに関しては調査中だ。何せ聞いたことのない術式だからな。私も昔の書物をひっくり返して読んでいるところだ。そしてこれはあくまでも本人が入学前に言っていたことに過ぎないんだが、話せば話すほど呪霊の動きが低下し、哀しそうな色である一点が光るらしいんだ。」


「哀しそうな色。そこが魂ということですか?」


「そうだ。で、そこに山田が触れると祓える。」



そういう仕組みらしいんだがなぁ、と先生は頭を抱える。それもそのはずだ。逆を言えば、転校生が魂とやらに触れられなければ、祓えない。階級の低い呪霊ならまだしも、今日のような2級の呪霊には効果的とは言えない。



「ソレ、何かリスクはないの?」



先ほどまで笑い上戸になっていたはずの悟が、真剣な眼差しで先生に問いを投げかける。



「ある。なんでも、祓ったあと頭痛がするらしい。」


「なるほど。呪言師が喉痛めるのと同じ原理ってわけか。」


「だから熱が出て、失神したのか。」



そう呟き、今日の一連を振り返ってみる。知らなかったとは言え、頭を痛めていたことに全く気付かなかった自分にまだまだだなと、がっかりした。

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