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この愛は呪いだ【呪術廻戦】

第7章 夏休みは任務です②~大人の階段登る編~







「うわぁ、見るからにいそうじゃん。」


「硝子でも分かるんだから、相当だな。」


「舐めんな、クズ。」


「花子は大丈夫かい?声とか聞こえてる?」


『・・・ん、聞こえてる。結構疎らだけど、すごい数はいるよ。』


「では、皆さんあとはお任せしました。ご武運を。」




松野さんがそう言うと、一気に昼間だったそこはまるで夜のように変わった。帳が降りたのだ。車内で聞かされた通り、私に行かせようとするあたりきっとこれは厄介な任務なのだろう。


どういう訳かアイヌの呪術連とは馬が合わないらしい。以前それとなく傑に聞いたら、お家柄だったり術式の継承だったりとその闇は深く、一回の呪術師がどうにかできる問題でもないらしい。その際に考えるのは辞めな、と忠告を受けたので、そこから私は気になどしていなかった。


そしてこういうことになると決まって五条は苛立ち不機嫌になる。もちろんその理由だってみんな分かっているし、良い所のおぼっちゃまも大変だ、なんて言葉ももちろん禁句である。(たまに傑が煽るときに使うから、そこから喧嘩になるのをもう何度も見た。)



話は逸れたが、今回硝子だけじゃなく傑と五条が任務に来てることも上層部は何も知らない。夜蛾先生が松野さんに指示を出しただけだと言うのも聞かされていた。



『夜蛾先生ってやっぱり優しいね。』


「そうか?オレはゲンコツしかされたことねぇけど。」


「それは悟が問題ばっかり起こすからだろう?」


「夏油も人のこと言えないくせに。」



先週まで稼働していたはずの不気味な工場を恐る恐る歩き続ける。耳を澄まして声を聞く。いつでも切れるように今日から私の者になった本物の刀に呪力を乗せる。そして、私は見つける。



『2階の奥。そこに1番強い呪霊がいる。』


「なんて、言ってるか分かんの?」


『憎い、死ね、呪い殺してやる、って声が沢山。』



振り返り3人を見ると、やっぱりこの声は聞こえないようだった。でも3人はそんな私を気味悪がるような人たちじゃない。



「やるじゃん、花子。いつもこうなの?」


『うん。』


「私たちもウカウカしてられないね、悟。」


「はぁ?オレの六眼使えばすぐだし。」



いつもの教室と変わらないやりとりに頬が緩む。私は最高な仲間と出会えたのだ。
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