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この愛は呪いだ【呪術廻戦】

第3章 恋に師匠なし術師に師匠あり








「山田の遠縁が見つかった。今から会いにいく。」



夜蛾先生はそれだけ言うと腕を組んで黙りこんだ。
どういうことだ?と頭上に疑問符が並んだ私たちを見て口を開いたのは松野さんだった。



「入学してから山田さんについての身辺調査を行いました。ザルもいいところで、なかなかに時間がかかってしまいました。」



結論から言うと、彼女はアイヌの呪術連に加盟していた山田家の血筋を引いています。お母様の方がその血のようです。今分かっているのはこれくらいですが、過去の話になりますがアイヌの呪術連でも山田家はとても立派な呪術の家系のようです、と松野さんは開いていたファイルをパタンと閉じた。



「呪術連に加盟していたってことは、今は引退したか辞めたってことですか?」


「詳しくは存じていないのですが、今から会いに行く山田さんは男性で御歳75歳とご高齢の方ですので、引退の可能性が高いですね。」



私の問にも、松野さんは丁寧に答えてくれた。
隣に座る悟は眉間に皺を寄せ何かを考えているようだった。気になることでもあると言ったところだろう。そんな表情をバックミラー越しに見た夜蛾先生が先に悟へと問いを投げかける。




「五条、何かきになることがあるなら言ってみろ。」


「あー・・・うん。」



返事にキレのない悟をみて、彼が気になっていることはきっとマイナスなことなのだろうと予測できた。花子の遠い親戚、その遠縁は引退、立派な呪術の家系、先程松野さんから聞いたことを頭の中で何度も何度も復唱する。


そうして導き出された不安要素が1つ浮き彫りになり、思わず悟の方へ身体を向け、私は声を上げた。




「まさか、花子を養子にするってことか?」


「あぁ、有り得なくはないね。最悪、頭の硬いおじいちゃんならアイヌの呪術連にいれるとか言うかもしれないな。」


「まさか・・・。」


「・・・。」



私と悟の会話に何も答えない夜蛾先生のその沈黙が、既に答えのようなもので。



「でも私と悟がここに馳せ参じた。何か策があるってことですよね?」


「・・・。」



私の問にも夜蛾先生は黙りを貫く。深く息を吐いた悟は、やっぱり呪力は整えておくことに越したことはないな、と小さな声で呟いた。


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